梅雨の時期や突然の雨で、お気に入りの革製品が水染みになってショックを受けたことはありませんか？

革は頑強で古くから様々な用途で欠かせない素材でした。しかし雨水に弱いという弱点が。

水に強い革はガルーシャ・エイ革、サメの革などのエキゾチックレザーがあります。牛革の中では水に強い革として、表面に顔料を厚く塗って仕上げたクロムなめしの革がありますが、革らしいというよりはナイロンやポリウレタンで仕上げたPVCの合皮に近い質感のものが多いです。

革の自然な風合いを持って経年変化を楽しめるヌメ革の中でも、革の弱点である水に対する耐水性・防水性を高めるために馬具用の革として誕生したのが、「ブライドルレザー」と「ディップワークハーネス」です。

実際に革を水に濡らしてその耐水性を実験してみました。

まずはじめに耐水性・防水性のない一般的なタンニン鞣しのヌメ革を濡らしてみます。

自然な仕上げの革のため、使うほどに革の油分が染み出して色艶の経年変化が味わえる反面、デリケートで水に弱いという弱点があります。

濡らしてみたところ水を弾くことなく、すぐに染み込んで色が変わってしまいました。乾かせば元通りになりましたが、種類によっては水脹れのようになる場合もあるのでご注意ください。

「革の王様」とも呼ばれ、最高グレードの革とされるブライドルレザー。その発祥は1000年以上前のイングランド北西部で、馬具に使われる耐久性と堅牢性を備えた革として誕生しました。

「ブルーム」と呼ばれる革の表面に白い蝋（ロウ）を浸透させることで、馬具としての悪天候や過酷な環境に耐えるために必要な「丈夫さ」「堅さ」「しなやかさ」「耐水性・防水性」を備えた蝋引きの革、それがブライドルレザーです。

「ブルーム」は使うほどに落ちて、艶と美しさが増していきます。布などで表面を磨くとさらに光沢が増して、極上の美しさを味わうことができます。

ゴールドラッシュの時代から鉱夫、木こり、ハンター、冒険家など厳しい自然環境に挑む人々から愛されてきた「Wickett&Craig ウィケット＆クレイグ社」の革。

「ディップワークハーネス」は名前の通り馬の「ハーネス（手綱）」に使われる強靭な革を、オイルとワックスの混合液に「ディップ（浸して）」仕上げられています。

革の巻紙にも浸透する程の惜しみないオイルを含み、雨風に耐えられる耐候性が強く、水を弾き、アウトドアや自然のフィールドにもフィットする心強い相棒です。

革らしいワイルドな表情が特徴で、使い込むほどに経年変化を味わえる革に仕上がっています。

革用の防水スプレーをするという手もありますが、元々防水性がない革の場合は、すぐに拭き取らないと水染みになってしまいます。

ブライドルレザーやディップワークハーネスであれば、気にせずに使うことができるので、野外でのアウトドアでのキャンプやサイクリング、釣りなどのアクティビティにはお勧めです。

もちろんヌメ革なので使うほどに色艶を増す経年変化を楽しめます。

ぜひお出かけのお供にしてください。