琳派とは
琳派(りんぱ)とは、本阿弥光悦と俵屋宗達が創始し、尾形光琳・乾山兄弟によって花開き、酒井抱一・鈴木其一が定着させた芸術(工芸)の流派。
金屏風や壷・小袖など、装飾性・インテリア性が高く、鮮麗な色彩や金・銀を巧みに用いた装飾的な画風を特色とし、日本の伝統的美意識と言われる「わび・さび」を含みつつも、それだけに留まらない雅さと絢爛さを持ちます。
感動と衝撃だけで脈々と続く流派
○○派などの名称を持つ流派は師弟関係を結び、師より直接指導を受けるのに対し、琳派は光琳が宗達に、抱一が光琳に衝撃と感銘を受けたように、時代も場所も身分も全く違う人々によって伝承されてきた特異な流派です。
それも模倣ではなく、同じ主題・技法などを用いながらも絵師独自の解釈により無限の広がりを魅せます。
岡本太郎と琳派
太陽の塔を創った岡本太郎は著書「日本の伝統」にて、琳派の一人、尾形光琳の絵に強い衝撃を受けたと書かれています。
紅白梅図屏風(上)を見たタローは「シンと冴えてすべてを拒否している」「あらゆる幻想も思い出も拒否される」「芸術における空間とは、まったく空気を抜いた絶望的な真空、虚であるか、でなければぎっしりと、みじんの隙もなくつまったものである、と私は信じるのです。」と評しています。
この琳派カラーにも光琳と太郎のエッセンスを盛り込み、クアトロガッツ独自の琳派を表現しました。
緊張と虚、そして和
表にはシボの入ったゴールドの革を使用し、裏側まで続く光琳の紅白梅図屏風より流水紋の川。
正面より見ると右から左へ激しいうねりを抱きながら大胆にかかる川と対照的に右下は虚になっており、その対比は前述の岡本太郎の言葉を思わせます。
川の中にはレッドで川をさかのぼる人魂とも放射される光とも見える、生命力の象徴のような力強さを感じさせるアクセント、その躍動は緊張と虚の対比を突き崩そうともがいているようにも見えます。
中は琳派へのリスペクトとして赤・白・緑を使用。
桜・富士山・芸者・侍など、一目で見て「日本」を感じるモチーフは多くあります。クアトロガッツ流琳派はそのうちの何一つを使わずとも全体より感じる「和」に仕上がったのではないかと思います。
